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いにしえ伝わる伝統芸能「石見神楽 」

2014年3月28日

いにしえ伝わる伝統芸能
石見神楽の継承と進化を支える匠の技

石見神楽は軽快なお囃子に合わせて、豪華な衣装と表情豊かな面を身につけて舞う、島根県西部の石見地方に古くから伝わる伝統芸能。

とくに明治以降は、その年の豊作や豊漁に感謝し神に奉納する祭礼の時期だけでなく、1年中、石見各地で上演されるようになり、各地に神楽の団体が次々と結成された。その神楽を支えるモノのひとつが神楽面。地元の工芸作家が伝統技法を駆使しながら、軽く丈夫な鬼や神の面を制作している。

主に神楽用に制作するのが創作面。神楽社中の伝統を引き継ぐ面の複製、新しい面の創作など、綿密な打ち合わせをしながら作り上げる。

浜田市に工房を構えるのは柿田勝郎(かきたかつろう)さんと兼志(けんじ)さん親子。

勝郎さんは30歳の時に脱サラし、趣味で手掛けていた神楽面作りに本格的に取り組むようになったが、誰かに師事することはなく、すべて独学で神楽面作りの技術を習得した。勝郎さんの面作りは依頼者の要望をじっくり聞くことから始まる。そして互いの思いを込めた面を複数提供し、選択は依頼者に委ねるという。

「同じ面でも演じる人によって表情が不思議と違ってくるし、木面に負けない耐久性は必要不可欠。とにかくまだまだ勉強の日々」と語る勝郎さんには、地元の文化・石見神楽への愛と、職人としての尽きない創作精神が宿っている。

初期の仏像制作や漆工芸の「脱活乾漆」を応用した伝統技法。
粘土を壊した型抜きが彫りの深い面を生み出す。
石見神楽の面は、まず粘土で面の原型を作り、柿渋入りの糊で和紙を幾重にも張り合わせてから、原型の粘土をひとつひとつ木槌で壊して型を抜き取る「脱活乾漆」。目や鼻の部分は焼け火箸で穴を開け、表面に胡粉を塗って彩色を施す。

近年は神楽舞だけでなく、新築祝・記念品などの贈り物として、また魔除(天狗・般若面)・招福(厄除鍾馗・素戔鳴・えびす面)商売繁盛(天狗・白狐面)などの縁起物として購入する人も多い。

柿田勝郎面工房

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